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くわずにょうぼう そして原子力

あるわけないけど欲しいもの カネのなる木に 魔法の杖に 不老長寿の瀧の水
くわずにょうぼう、とは、「都合のいいもの」の象徴である。

もとより天災であるはずの地震と大津波が引き金となった福島原発の惨憺たる状況を目の当たりにする今、もはや
人間の犯した過ちを、罪を咎めずにはいられない。常軌を逸した電気使用が日本の足を掬ったのだ。原子力の甘い蜜に群がる企業や政治家、そして学者は妖怪と化し、我々の耳に囁いた。

「遠い国から高い石油を買ってこんでも、こんな小さなウランでその何倍も電気が作れる」
「石油を焚くと煙が出るが、ウランは水も空気も汚さない」
「核燃料の燃えかすはまた使える。何度も使って、最後は貧乏な国にカネで押し付ければいい」
「原発は安全だ、絶対に事故など起きない」

「めしはくわねえ(カネはかからぬ)、よっくはたらくから(いくらでも発電するから)、
おらを女房にしてくれ(原発を推進してくれ)。」

いざ原発を女房にしてみると、それはいい働きぶりだった。それにちっともカネを食わない。ありがてえ、これで好き放題電気が使える。朝から晩まで、要るもんでも要らんもんでも作って売ってまた売って、いまに蔵に入りきらねえほどカネがたまるぞ。と喜ぶ男だった。

が、あるひ、男が蔵をあけてみると、あれだけあったカネがごっそり消えている。
こりゃ、いったいどうした?だれかが盗って隠したか?
男は痛い目に遭ってはじめておかしいと気づいた。飯を食わずに働くもんなどこの世にいる筈ないことに。
あるひ出かける振りをして、蔵の中に隠れてそっと見張ることにした。

「馬鹿めが、やっと出て行った」
女は立ち上がり、蔵へのしのしと歩いた。蔵の戸を開けると優しかったその姿はむくむくと膨れあがって鬼のようになり、きれいだった顔はまるで山賊の頭目のように変わった。着ていた着物はとうに裂けて肌があらわになっていた。見ると体中にに数え切れないほどの口がはりついていて、口々に何かをまくし立てていた。中には男の知らない異国の言葉も混じって聞こえた。女、いや、化け物は残り少なくなった男のカネをわしづかみにして体中の口に食わせてやった。

男は恐ろしさのあまり動けなくなった。化け物が居住まいを整えて蔵から出て行ってもしばらくそのまま何もできなかった。やっと我にかえって考えて、とにかくあの女房、いや化け物と離縁することにきめた。

「やっぱり原発はいらねえ、でてってくれ」

そう切り出した男に女は激怒して掴みかかった。
「みたなあ!」 すでにさっきと同じ鬼の姿。
「知られたからには仕方ねえ、このまま生かしておくものか。はん!どうせお前のカネが尽きた時ゃこうして同じ目に遭わせてやろうと思ってたよ。山につれて帰って死ぬまで働かせてやろうか、それとも五体ばらして仲間たちにくわせてやろうか!」

髷をむんずと掴まれ桶に放り込まれた男、がたがた震えて声も出せない。化け物はその桶を担いでもとの棲家へと向かい、走った。山道、けもの道をものともせずに走る。岩を蹴ころがし、木を押し倒し、なおも走る。峠を越えたか、という頃にはさすがに疲れた。桶を頭にのせたまま座り込んで一息ついた。そこへ天の助けか男の頭の上に木から一本に枝がだらりと下がってきたのだ。男はそうっとそうっと枝を頼りに木に登った。化け物はそれに気づかずそのままいってしまった。

「ものども、みやげをくれてやる」
頭から桶をおろしてみると、空っぽだ。山の者たちは腹を立てて言った。
「この役立たず、ひもじいぞ、もっと人が食いてえ」
もともと鬼のような姿は怒りでますます恐ろしく変わった。
「十っぺん殺してから食ってやる、糞になったら四方八方にまきちらしてはやり病をおこしてやる」
そういったが早いか化け物はもと来た道を取って返し、村へと逃げる男をすぐにみつけた。

いくら走ってもあの化け物にかないようがない。男は泥に足を捉られて転んでしまった。これまでじゃ、と観念したとき、化け物は急に怖気づいた。
「こええ、刺される」
男があたりを見回すとそこは沼地で菖蒲が生い茂っていた。
「やめろ、いてえ」
剣のような菖蒲の葉が男を守って化け物に斬ってかかった。

たまらず逃げ出した化け物は男と同じように、泥ですべって転んでしまった。
わめき声を上げて苦しむ化け物、体が焼けただれて溶け出した。
「ちきしょう、ちきしょう」

とうとう消えてなくなった。見るとそこにはよもぎの葉がびっしりと生えていた。
よもぎと菖蒲

またつづく


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ayamiaktas

Author:ayamiaktas
筆者 尾崎文美(おざきあやみ)
昭和45年 東京生まれ
既婚 在トルコ共和国

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