放射能は人の思考を止めるのか

ただの気違いを除いて放射能が安全だなど本気で考えてる人はいないと思う。
放射能が体にどのような影響をあたえるかは例え漠然とでも皆しっている。
家族が、自らが癌を患ったり、わが子が障害を抱えて生まれてきたり、病に鞭を打って働いてもその稼ぎがすべて治療に消えたり、そしてそのすべてを背負うことになるのを一体、どこの誰が望むというのだろう。

東日本大震災以来、いや原発事故以来、日本の家族や友人としばしば意見を交換したりネット上で世論を覗いてみたりするようになった。その限りでは、どうやら日本では放射能の話しを敬遠、あるいは拒絶しているかのように見える。
「お耳障りかとは思いますが」などと前置きをして友人達にメールを送り原発や日本のこの後の事を対話しようと試みた。事故当初は「かまって」貰えたが、秋以降はさっぱりである。目にはさやかに見えぬ放射能よりも目前の不景気の方が敵として認識しやすいのだろうか。


放射線について考えてみよう
文部科学省が小学生向けに作成した放射線に関する教材である。地方によってはこれによる授業がすでに始まっている。

小学生を相手に、放射能が恐れるに足りないものであるということを解りやすく強調している。
「こういう指針で教材を作れ」というお達しが政府から文科省官僚に、官僚から下っ端どもに出されるのであろう、その「指針」がたとえどういったものであろうと関係ない。忠実に、忠実に作成されてしまう。省庁とはそういう環境なのか、そこで勤務するためには人としての判断力も良心も売り渡さねばならない。いや、そこに入省するべく幼いころから努力された方々には売り渡す判断力すら備わらなかったと言って差し支えなかろう。


放射線って、何だろう?

放射線は、太陽や蛍光灯から出ている光のようなものです。
薄い花びらを明るいところでかざして見ると、花びらが透けて光が見えます。これは、薄い花びらを光が通り抜けるからです。
光と放射線の違いは、放射線が光より「もの」を通り抜ける働きが強いことです。
放射線は、色々なところから出ています。放射線がどのようなところから出ているか調べてみよう。


                                                   (放射線について考えてみよう より抜粋)

放射線が我々の体を通り抜けると害があることは書かれていない。それに我々は「もの」ではない。放射線が何処から出ているか知りたければ教えてやろう、福島第一原発だ。


放射線は、どのように使われているの?

放射線を使って、細菌の付いていないきれいなものにすることができることから、病院で使う注射器などに利用されています。
これは、放射線に「細菌を退治する働き」があるからです。
放射線は、色々なことに利用されています。放射線がどのように利用されているか調べてみよう。
                                                                (同ページより抜粋)


われわれは発芽せぬよう放射線で去勢したジャガイモを食べさせられている。体内の細菌も、細胞、組織、臓器、人間、すべて退治できる。その力を利用した最たるものが核兵器である。


日本の政府は徹底的におかしいのだが、そこだけを批判する気になれない。なぜなら政府は国家の縮図であるからだ。(選挙によって国民が選んだのだからという意味ではない。)
電気漬けの生活を求めているのは紛れもなく大多数の国民である。家庭での使用のみではない。電気をはじめとする資源の過剰な使用の上に成り立つような社会を作り上げてしまったのも国民である。人件費を削るための機械化、生産費を下げるための大量生産、流通をうながす過剰広告、過剰包装、画一規格、そのための流行、そのための使い捨て、そのためのゴミの山、そして原発…すべては国民が望んで受け入れたものである。残念ながらこの国民にしてこの政府がある。

「原発」が日本経済の心の臓だという大前提があり、それが事実であるかどうかとは別に大多数がそれを信じる上で、日本人は原発がなくなることによって今日までに築き上げた社会が瓦解することを恐れている。戦後の焼け野原を裸足で歩いていた日本人はものを作り外に売ることをしながら富を得た。石油のない我が国が外に頼らず工業製品をつくり続けるには原発が一番都合がいいと思った。
原発がなくなれば、それを舞台に繰り広げられる今の産業、流通、経済すべてが「幕」になる。困る。生きる指針をすべてここに向けていたのだ。学歴、職業、地位、結婚相手、子供の教育、住まい、投資、老後…人生設計の根幹であるこの価値観を打ち砕かれたのではいまさら何をよすがに生きてゆけばよいのかわからなくなる。                                            


だから、穢い廃棄物が残ろうと酷い事故が起ころうと原発を「必要悪」と思い込もうとしている。
さして原発を推進したいわけではないが脱原発には背を向ける。それが日本の胸の内、違うか。


放射線を出すものって、なんだろう?

「放射線を出すもの」は、放射性物質と呼ばれ、植物や岩石など自然のものに含まれています。
放射性物質を電球に例えると、放射線は光になります。
放射性物質は、放射線を出して別のものに変わる性質をもっています。
元の放射性物質は、時間がたつにつれて減っていき、その減り方は、放射性物質の種類によって違います。
始めに1000個ある放射性物質が4か月で半分の500個になる場合、1年たつと始めにあった放射性物質は何個になるか考えてみよう。
                                                                 (同ページより抜粋)


電気店で売っている電球に家庭で電気を流すと発熱、発光する。一方、天然の放射性物質に中性子を工業的にぶつけた時に核分裂をおこしてこれも発熱、発光する。ただし放射性物質は電気店では間違っても売っていないし家庭で核分裂をおこしたら間違いなく死ぬ。次元の違いすぎる例をあげて子供を騙すのは正しくない。そして半減期が二万年の放射線物質があるという大問題をよそに四ヶ月という例を出している。この教え方はサラ金の利用規約を思い出させる。


放射線を受けると、どうなるの?

放射線の利用が広まる中、たくさんの放射線を受けてやけどを負うなどの事故が起きています。また、1945年8月には広島と長崎に原子爆弾(原爆)が落とされ、多くの方々が放射線の影響を受けています。
                                                                 (同ページより抜粋)


やけどで済むのか、原爆の影響がどういうものか知らないとは言わせない。言わせてはならない。


放射線は、どうやって測るの?

学校内の色々な場所を測定器を使って測ってみると、場所によって放射線の量が違うことが分かります。
例えば、学校の教室や体育館などで測った放射線の量に比べ、石碑の周りで測ると高くなることがあります。これは、石碑の中に放射性物質が多く含まれているからです。                                        
                                                                 (同ページより抜粋)
    
    

例えば原発が爆発を起こし空から放射線を帯びたものが降ってくれば教室や体育館の中より校庭の放射線量が高くなるだろう。わざわざ石碑を指し示して「放射線源はあくまで石碑の御影石に含まれるジルコン」と言い張るのは問題をそちらに追いやろうとしているからである。

このような文書を教材として作る側の者とはどのような人たちだろうか、それは日本の最高学府、あるいはその亜流で学んだ輩で、そこに辿り着くまでには幼い頃から「調教」を受けて育った。出題者の望む答えを「選択」出来るようになるための訓練を受けたのである。そこでは考える力など必要なく、逆に求められるのは瞬発力のようなもの、つまり出題者の意図を瞬時に汲みその答えを選択する力である。思考の方向性を一方に撫で付けられる。出題者と同じ思考に染まる。それが正解を出す近道だからである。もはやそうなれば出題者の望んだ答えが正しかろうと大嘘であろうと構わない、いや判断できない。冒頭でも述べたがそれを判断する能力が備わらないのは、こういった教育の賜物である。

この出題者とはそれほど特別な人たちかといえばそうでもなく、上で述べたような瞬発力を鍛え、それを得点という数値でより高く評価されたという違いがあるだけである。日本人みなが同じ道を通ってきた。かつて我々も、そして子供達がいま同じ訓練をされている。その中の一握りが官僚や学者に昇りつめ出題する側に立ち、そうでないものたちは自らを「負け組」などと称する。好きにすればよい。


放射線から身を守るには?

放射性物質が決められた量より多く入ったりした水や食べ物をとらないように気を付けたりするなど対策を取ることが大切です。
                                                                (同ページより抜粋)



原発を作り事故を起こしその収拾がつけられないうちに尚も原発を作ろうとする側の人たちによって決められた量など信用してはいけない。いけないが、信じたがる。
信じることで「経済大国日本」を継続できると思いたいからだ。人の思考を止めているのは放射能なのか、何なのか。


脱原発の是非を東京都民投票に問うための署名が行われ、その活動をされた方々は大変なご苦労をされたという。寒さとそれ以上に冷たい都民の態度に耐えて集めた署名は、石原慎太郎(敬称不要)によって積極的に無視されようとしている。

ブログ どくだみ荘日乗 『原発都民投票』

得点が足りず上級職につかなかった者でも思考は同じ方向へと流れるだろう。その流れに逆らう者を気味の悪い存在と捉え、攻撃せずとも無視を決め込む。



たとえば現代国語や英語の試験で自ら考えて解釈し回答すれば得点も成績も素晴らしく下がる。出題者の評価不能な回答は邪魔なだけで、早くねじ伏せておかないと自分の足場が危うくなるからである。理科や数学は一見そうはみえにくいが所詮は同じ、出題者の求める解析法を強いられている。ピラミッドの高さは三角関数などを用いなくても影と実体の長さの比を使うことで測れる。円の中心も角の三等分も紙切れを折ることで求められる。ピタゴラスやアルキメデスにいちいち証明をお願いする義理などない。

「君、数学のセンスはあるけど得点はとれないから安心しろ」
中学生だった筆者が数学の先生に頂いたお言葉。先生が何を仰りたかったかはその時すぐに理解した。先生にはおそらく教育のからくりが見えていたのだろう、現に数学も国語も成績は悪かった。このお言葉を励みに安心して生きていくうち気がつけば日本の社会の外にいた。

だからいま、偶然と当然が重なって我が子たちを日本の学校にやらずにいる。ともあれ支離滅裂な教材で放射能を楽しく明るいものだと思い込まされずに、そして大多数の日本人に望まれる思考を植えつけられずに済んだ。仮に日本にいてこの教材と対峙していたらどうしていただろうか、迷わず仮病で休ませるか、それでもダメなら学校を辞めさせるか。


おそらく出来ない。日本で安穏と暮らすためにはその判断力をかなぐり捨てなければならないからだ。



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Lily姫

同感です! 同感です! 同感です!
なんて分かりやすく、心に響く、記事でしょう!!!
どうコメントしてよいのやら・・・
共感・・・ううん、なんか、感動の方が正しいかも

初めてコメントします、Lily姫と申します
ご挨拶があとになって、すみません
何度かお邪魔してますので、初めましてじゃない気がします(*^_^*)

いつか、ご訪問と拍手コメントを下さったのは、
もしかして、あやみさんではないですか? (指先の怪我の記事のとき)
ありがとうございました
もし、違ってたらゴメンナサイ


  • URL
  • 2012/02/15 11:39

あやみ

はじめまして、コメントありがとうございます。

はいはい、そのコメントは私です。もう大丈夫でしょうか?

共感していただいて励みになります。嬉しいです。
だけど、今回の記事は何かを提案したり解決を促すものではなく「愚痴」に近いのでちょっと後味の悪い思いが残ります。

もっと良い記事をと精進したいと思います。これからもどうかよろしくお願いします。
  • URL
  • 2012/02/15 15:22

彼岸花

あやみさん。はじめまして。
おや。はじめましての、先客がいらっしゃいますね。^^(lily 姫さん、こんにちは♪)

はなさかすーさんからご紹介いただき、私も今までひそかに数回、
こちらを訪問させていただいておりました。

私も、同感、同感、同感です!
『放射能について考えてみよう』。
こんなまやかしはありませんね。私もこれについていつか書かなくちゃ
と思っていました。
一見、あの原発事故の後、その反省から、これまでの原発推進の
副教材から大幅に書換えしたように思わせる。なにしろ今は、国民に
厭原発の気分が高まっていますから、今までのようにはいかなくなったからでしょう。
しかしながら、ここであやみさんが、その抜粋の欺瞞の一つ一つを
論破なさっていらっしゃるように、きれいな衣を着せてはいるけれど、
これまでの原発推進教材と何一つ本質は変わっていないですね。
いや、むしろ悪い。
なんと巧妙な文章でしょう。本質が見えないように見えないように、
考え抜かれた文。使っている例が悪質ですね。水仙の花などの
美しいものを敢えて持ち出して、原発の悪いイメージを誤魔化そうとする
意図が見え見え。事故の前に配布しようとしていた原発推進の
教育副読本『わくわく原子力ランド』を作成した委員会の委員でも
あったひとがかかわっている。
どこにも、反省の色が無い。
これを小中高向けにそれぞれ作り、8万部も各校に配布。
『わくわく原子力ランド』、それから中学生版の『チャレンジ!原子力ワールド』は、
1500万円もかけて事故前に配布されました。事故を受けて急きょ回収したようですが。
今回もまたそれと同等かそれ以上のお金をおそらくかけて、洗脳教育のための
副読本作りにいそしんだのでしょう。
いったいこれを作った人びとは、どういう思考回路の人々なんでしょうね。
生身の体の痛み、というものをあまり感じたことのない育ち方を
してきたのだろうか…期待されている解答を導き出す能力をのみ磨き上げて
いい成績をとって来た人々なんだろうなあ。そこには他人の痛み、
というものに対する想像力のかけらもない。薄っぺらな科学信仰と経済優先論理のみ…

子供は白い紙ですからね。こんな教材を使って刷り込まれたら…

本当に『気味の悪い』教材です。

あやみさんは、非常にクールで理性的なお方と、数々の記事の書きっぷりを
見て推察申し上げます。lily姫さんへのお返事の中で、愚痴に近いものを
書いて後味が悪い、と冷静に自己分析しておいでなのを拝見し、
ちょっと微笑んでしまいました。いいじゃありませんか、たまには。
私など毎回、情緒押しつけの、愚痴やら憎悪やら悪態満載の記事を書いています!(爆)

御記事。どれも本当に面白いです。
また、過去記事も少しずつ読ませてくださいね。^^
ありがとうございます。
  • URL
  • 2012/02/15 17:08
  • Edit

あやみ

こんにちは、コメントありがとうございます。

本当に難しく複雑な問題なのですが、解決を政府に期待をするのは無理でしょう。国民が変わらなくてはならないのです。このような教材はためらわず却下しなくてはならない、でも子供を「人質」にとられている以上おとなしくならざるを得ない、そうこうしているうちに消費税が上がり原発はそっちのけに…

これじゃあダメなんですよね。でも現実です。変わりたくない政府は国民の変わりたいという欲求をこれからも封じ込めにかかるでしょう。それに負けない強さとしなやかさを備えなければなりませんね。

長期戦になると思います。でも勝てると思います。
またのお越しをお待ちしております。
リンクの件、ありがたくお受けいたします。
  • URL
  • 2012/02/15 19:11

はなさかすーさん

あやみさん、こんばんは^^

国会中継とか聞いていますと、何だか気持ち悪くなるのです。
ここではほっとします。あやみさん御自身だけではなく
ご両親、素晴らしい方なのでしょうね。

レールを敷くことは、脳科学でも証明されているように思考パターンの固定化です。
僕たちはすっかりそのレールに乗せられています。自由を愛する芸術家たちは
今では見渡す限り存在しなくなりました。けれどもレールに気付いた名もなき
人々が、それぞれの輝きを放つような時代です。過大な期待は寄せませんが、
可能性は無限ですから信じたいと思います・・・日本の未来。

あやみさんの文体、今回は随筆風ですね。

フリーエネルギーは突破口になると思います^^

あやみ

コメントありがとうございます。

そのレールが見えてしまうと、今度は子供たちを学校にやるのが辛くなってくるのです…子供たちはくだらないことばかり憶えさせられてそれを何時間もかけて反芻し、それに一喜一憂しなければならないのですから。

もちろんいいことも沢山あるのですが。

フリーエネルギーはそこまで来ているのでしょうね。市場経済が利権を死守するためにその道を塞いでいるのでしょう。最後の悪あがきです。

私の父が昔、「おまえが普通の大学か短大を出てサラリーマンと結婚してくれれば親としてこれほど気がやすまることはないんだけどなあ」とこぼしてました。
笑っちゃいますが、やはり本音なのでしょうね。いつか親孝行して埋め合わせをせねば。
  • URL
  • 2012/02/16 03:30

建岳

世の中の大きな流れが
大きく間違っていくような時。

個人の力でどのようなことができるのか?

現代のグローバル化の中で、よりその無力さを感じています。

先日、寺院セミナーで講師の方が、
「資本主義が窮まって恐慌が起き、それを二度の世界大戦で清算してきた。そして今すでに、新しい恐慌に突入している」と仰っていました。

正しいことや、本当のことが見えにくくなってしまい、
人々の自分勝手さばかりが蔓延してしまう。

東電や文部省は、今、自分達に都合がいいだけで、
未来、自分の子孫にめぐりめぐって不幸が訪れることに思いがいたらない。

今、自分が莫大な金額を儲けることに血眼になり、世界に大きな信用不安を巻き起こし恐慌を引き起こす。

私達人類は、何度も同じ間違いを繰り返していますが、
今度こそ乗り越えるのか、また、破滅的な清算をしなければならないのか?

非常に危険な今だと感じています。
  • URL
  • 2012/02/19 11:52

あやみ

コメントありがとうございます。

強行も戦争も起こるもではなく誰かが起こすものだと言われており、残念ながら私もそう思います。

過去にもそれなりに危険な時代はあったのでしょうが、その危なさ加減が比べ物にならないほど増大してしまったのが今でしょう。もう次はないように見えます。

それに立ち向かうことを考えると、仰るとおり無力さを感じざるを得ません。
とにかくこれ以上間違いを起こさないことが大切です。

寺院セミナーなどを通しての勉強会、そういったものがあることにとても勇気付けられます。みながこのように願うことで少しずつ道が開けるのではないでしょうか。

  • URL
  • 2012/02/19 19:49

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Author:ayamiaktas
筆者 尾崎文美(おざきあやみ)
昭和45年 東京生まれ
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